作品名 | ヘラクレスのインタリオ付 ヘレニズム時代のリング |
制作年 | 紀元前3世紀 |
制作国 | 古代ギリシャ |
制作者 | 未詳 |
素材 | カーネリアン、ゴールド |
ゴールド・リングの丸いフープは平行な撚ったワイヤーで覆われてショルダーのパルメット(ヤシの葉状の装飾)へと続き、オーヴァルのボックス・ベゼルを支えている。ベゼルの側面はプレーンなワイヤーと撚ったワイヤーのバンドに挟まれた螺旋模様で装飾されており、その球状の縁飾りの中にコーネリアンによる成熟期のヘラクレスを表わした頭像インタリオが収められている。彼は顎鬚を生やし、月桂樹のリースを冠して左向き横顔を見せている。ベゼルの底面は、センターに開けられた孔を囲んで螺旋模様が装飾されている。
この精緻に装飾されたリングは、それ自体として重要であり、古代世界におけるすべての英雄の中で最も有名なヘラクレスの頭像を伴うという付加的な意義を帯びている。ここでは、彼は十二の功業を成し遂げた後の勝利に満ちた雰囲気で表現されていることから、ヘレニズム時代の軍隊の指揮官の一人を暗示したものという可能性もある。M.L.ヴォレンワイダーとJ.ボードマン共著『彫刻を施したリングとフィンガー・リングsのカタログI、ギリシャとエトルリア』、オクスフォード、アシュモリアン博物館(1978年)no.331を参照のこと。