作品名 | ファラオの胸像 |
制作年 | 1870年頃 |
制作国 | フランス |
制作者 | 未詳 |
素材 | アゲート、ルビー、パール、ゴールド |
19世紀中葉のゴールドとルビー、スピネル、アゲートのファラオの胸像は、聖なるコブラ、すなわちユリーアスがその額の上に、ルビーのヘッドドレスが肩の下にまで垂れ、ルビーのジュエリーを胸に着けて左向きの横顔を見せ、ヒエログリフを刻んだフレームに囲まれている。
1851年にジョセフ・ボノミとオーウェン・ジョーンズによって創造されたシデナムのクリスタル・パレスにおけるエジプトの宮殿によって惹起されたナイル文明に対する巨大に広まった関心は、1869年のスエズ運河の開通によって、また同じく1878年のロンドンのテームズ河岸の堤防に建立されたオベリスによって再び刺激を受けた。この魅惑は建造物においてだけでなく、絵画と装飾美術、特に家具とジュエリーにおいて表現された。1880年代を通じて19世紀の終わりまで様々な像とヒエログリフ(神聖文字)を伴うゴールドのカフリンクス、スカラベのネックレスとブレスレット、リングそしてここにあるようなファラオのブローチが“エジプトマニア”(エジプト狂い)にかかった人々によって着用された。ここではバサルト(黒色陶器)の肖像を模して彫刻された黒い胸像が、上エジプトと下エジプトを支配したファラオの威厳と権力を伝えている。