制作年 | 19世紀初頭 |
制作国 | イタリア |
制作者 | ベネデット・ピストルッチ |
素材 | カルセドニー、シルバー |
サイズ | L98mm W66mm |
カルセドニーの暗い色調を背景に、肩に槍を載せたミネルヴァの左向きの胸像を白い層に刻んだカメオ。シルバーのペンダントに爪留めした作品。ミネルヴァのコリント式の兜は、面頬の上に羊の頭、両脇にグリフィンを浮彫りにし、息巻く蛇を載いている。ゴルゴンの付いた楯を胸に当てている。
このカメオは、「ユスティニアヌスのミネルヴァ」と呼ばれる作品を基にしたものである。1631年以来、ローマの記録に登場するこの著名な彫像は、1805年にルシアン・ボナパルトが購入した後、ピウス7世の手に渡り、ヴァティカン宮殿のコレクションに収蔵された。ヴァティカンでこれを目にした彫刻家Antonio Canova(アントニオ・カノーヴァ)によって絶賛されている。しばしば複製が作られて来たが、この作品のようにカメオに表現された作例は珍しい。オリジナルの像と異なり、ピストルッチのこの作品には、肩の槍が加えられている。
A. Billing(A.ビリング)著、『The Science of Gems, Jewels, Coins and Medals(宝石、ジュエリー、コイン、メダルの科学)』(1875年)によると、このカメオは、H. G. Hamilton(H.G.ハミルトン)が500ギニーという高額でピストルッチから買い取っている。このことから、当時、優れたカメオが如何に高く評価されていたかが分かる。L. Pirzio Biroli(L.ピルツィオ・ビロリ)著『I Modelli in Cera di Benedetto Pistrucci(ベネデット・ピストルッチのワックス・モデルI)』(1989年)には、このカメオ(Pl. 41b)と、ワックス・モデル(no.252)が掲載されている。