制作年 | 19世紀末 |
制作国 | ロシア |
制作者 | ファベルジェ |
素材 | ロッククリスタル、エナメル、ゴールド |
サイズ | L23mm W49mm H24mm |
ゴールドの長方形ピルボックス。蓋と底部分は面取りされたロック・クリスタル板が使用され、縁にはローレルの葉模様の細い縁飾りを伴う。側面はギヨシェ加工が施された緑のエナメルにドットが散らされている。工房長、ミヒャエル・ペルチン(1860-1903)のサインがある。
ジュエリー、インペリアル・イースター・エッグ、花の表現やハードストーンの彫刻で名を馳せたファベルジェはこのピルボックスのような実用的な品も販売していた。いたってシンプルな外観ではあるが、そこにはファベルジェの上品なプロポーション感覚、珍しい素材の組み合わせ、そして熟練したエナメル技術などが見事に表されている。蓋と底部分の控えめなローレルの葉の縁飾りは18世紀のフランス芸術を思わせるが、これはファベルジェのインスピレーションであり、また1886年から没するまでの間、工房長を務めたミヒャエル・ペルチンのインスピレーションでもあった。このボックスは、実用品をも芸術にまで高めることができる完璧な職人技の素晴らしさを物語っている。
ツァリーナ・アレクサンドラ・フョードロヴナ、1898年入手。