制作年 | 19世紀初頭 |
制作国 | ロシア |
制作者 | 未詳 |
素材 | ダイヤモンド、ゴールド、シルバー |
サイズ | L12mm W20mm H21mm |
ゴールドおよびシルバーのリング。指にはめるリングの輪(腕)は、石座と腕をつなぐ肩の部分で分岐し、長い茎をもつ植物のモチーフとなって長方形の枠(ベゼル)を支える。ベゼルには、若い男性を描いたミニアチュールを保護するように、テーブルカットの大きな天然ダイヤモンドがセットされている。描かれている男性はロシア皇帝アレクサンドル1世(1777-1825)であり、右を向いた姿で、赤い襟と青い肩帯、黒い短上着から成る軍服に身を包み、星形をしたアレクサンドル・ネフスキー勲章を着けている。ベゼルをぐるりと囲むように石座がいくつもあり、ローズカットあるいはオールドカットのダイヤモンドがそれぞれセットされている。
水彩で描かれた肖像画を保護するために平らな天然ダイヤモンドを使用していることから、モデルとなったロシアのアレクサンドル1世の重要性がうかがえる。ヨーロッパではマリー・ド・メディシスが生きていた時代、1618年から肖像画用ダイヤモンドの存在は確認されているが、これに強い関心を示したのはピョートル大帝であり、自らの肖像を描いた公式な贈答品に肖像画用ダイヤモンドを使用していた*。その後、ピョートル大帝の後継者達もこれを好んで用いたため、肖像画用ダイヤモンドと言えばロシアの皇族が連想されるまでになった。