作品名 | ガラスとエナメルのネックレス |
制作年 | 1900年頃 |
制作国 | フランス |
制作者 | ルネ・ラリック |
素材 | ゴールド、エナメル、ガラス |
ゴールドとガラス、エナメルによるネックレスは、様式化したグリーンの葉でリンクが構成されており、そこから吊り下がる13個の蕾が棘に掴まれている。
ジュエリーにおけるアール・ヌーヴォー・ムーブメントを統括する天才としてルネ・ラリック(1860-1945)は、伝統的なジュエリーの代わりとなるものを提供した。その芸術的な作品の数々は、使用されている宝石の素材的な価値と、過去のものに触発されたデザインに重点が置かれていたが、彼は絶えず新しいテーマについて考え、自然界からそれを引き出すとともにガラスなどの新しい素材を導入する先駆者となった。そのガラスはここに見られるように、魅力的なテクスチャーが施され様々なやわらかいカラーに色づけされた。ラリックのジュエリー作品の中には、実際の着用にというよりも「オブジェ・ダール」として展示する方がより適したものもあるが、このネックレスは比較的シンプルでまたそれゆえに着用しやすく、あらゆるところで見かける因習的なパールとは一味違ったものを望む女性に向けられたものであることは確かである。ラリックはエナメル技法の熟練した腕で知られるが、ここでは葉飾りのグリーンのリンクによってそれは示されている。ガラスの使用は同じく深い意義を持ち、ラリックがやがてその装飾的なポテンシャルに強い関心をもち、1910年以降はガラスが彼のアートの主要な表現素材となったからである。同じようなデザインのものは、S.バーテン著『ルネ・ラリック、ジュエリーとオブジェ・ダール 1890-1910』(1977年ミュンヘン刊)No.335および336に掲載されている。