作品名 | クル・オバ フリンジブローチ |
制作年 | 1860年頃 |
制作国 | イタリア |
制作者 | アウグスト・カステラーニ |
素材 | ゴールド |
フィリグリーとビーディングで装飾したゴールドのブローチは、センターにロゼットを配した円盤の上部飾りと、クレセント形のペンダントから成り、クレセントの上のアクロテリオン(古代ギリシャ建築の切妻屋根を飾る彫刻などの台座)の両サイドに多層になった花(開花しているものとそうでないもの)があり、小さなロゼットが縁取るとともに種子を象ったペンダントが下に付き、先端にアンフォーラとロゼットを付けたチェーンが提げられている。
カステラーニおよび他の考古学スタイルのジュエラーたちは、19世紀に大量に発掘された古代世界のゴールドジュエリーのスタイルや、フィリグリーおよびグラニュレーションの技術を復元することを専門とした。ここでモデルとなっているのは、1830年に南ロシアのクル・オバで発掘された有名な墳墓に紀元前400-350年頃の女性とともに埋葬されていた一群のジュエリーの中のイヤリングである。1854年にロシア人の学者たちによってこれらの財宝が発表された後、そのイラストを通してコピーされたが、モダンな趣味で味付けされ完成した。
この作品の場合はイヤリングであったオリジナルがブローチとして着用するためにかいさくされておりさらに対称的かつ規則正しく、より重厚感のあるスタイルに仕上げられている。クル・オバの評判はそれほどに高く、このようなものを含むそのジュエリーのバージョンは1862年にロンドンで開催された万国博覧会で展示される予定のものであった。