作品名 | ヘレニズムのゴールドティアラ |
制作年 | 紀元前2世紀 |
制作国 | ギリシャ |
制作者 | 未詳 |
素材 | ゴールド |
おそらく実の付いていない2本のオリーヴの様式化された枝で構成され、ゴールドのチューブに取り付けられたゴールド・ティアラで、その尖った葉はセンターの筋に向かって葉脈が走っている。ヘレニズム時代、紀元前2世紀頃。
ティアラの長く際立った歴史は、古代ギリシャのゴールドスミスたちが神々の彫像にかつてない最も美しいものを冠するために、また祭司や生贄の儀式の動物たちが有名な神殿の祭壇へと行列して行く時に、彼らの頭を飾るために多くの実例を創造した時に始まった。ギリシャの神々および女神たちのそれぞれが特別な植物と結び付けて考えられているが、ここではそれがアテネのアクロポリスの丘の偉大なパルテノン神殿おいて力と知恵の女神として崇められていた女神アテナに捧げられたオリーヴである。女性詩人のサッフォーによれば(紀元前612年)、アテナやその他の神々に敬意を表する人々にとって、もし彼らからの寵愛を得たいと願うのであれば常に彼らの頭にこれらの自然の美しい産物によるガーランドを冠するのが必須のことであった。ティアラが名誉の象徴と見なされ競技や音楽コンテストの勝利者に授けられたのは、それらが対象として捧げられていた結び付きのゆえである。こうした初期の時代から、頭上のティアラは社交上の機会に刻印を与え、それを日常から特別なイヴェントに浮き上がらせることから、婚礼の祝いや宴会を楽しむ際に身分の高い人々によって着用されたのである。この実例は所有者と共に埋葬されたために伝存したものであり、長い黒髪の頭に冠されると想像することができ、アテナを礼賛する行列において生者によって着用された際には大いなる効果で太陽の光を捉えた。
比較としては、J. オグデンとD. ウィリアムズ共著『古典世界におけるギリシャのゴールド・ジュエリー』(1994年、大英博物館刊)no. 115を参照のこと。