制作国 | 古代ギリシャ |
制作者 | 未詳 |
素材 | ゴールド |
紀元前4世紀の古代ギリシャのゴールド・イヤリングは、グラニュレーションとフィリグリーで仕上げられた様々なエレメントで構成されている。トップの円盤の正面は、ビーディングを施した縁飾りの内側にパルメット(ヤシの葉模様)で取り巻いたロゼット(円花飾り)で装飾されており、そして滑らかな裏のループから垂れるチェーンは、両脇にパルメットを配し一緒に後ろ足で立ち上がる2頭の馬を冠したグラニュレーションを施したシンメトリーな、スクロールするオーナメントで覆われたボート・シェイプのペンダントを保持している。裏側は滑らかになっている。パルメットを冠した種子にも似た畝模様を施した球状のペンダント(垂れ飾り)を先端に付けた、交互に長短に配した8本のループ・イン・ループ・チェーンが下側の9個のロゼットに取り付けられている。センターのロゼットからは、短いピラミッド型のペンダントが下がり、さらに2個がその他のロゼットに取り付けられている。
このイヤリングは、全盛期のギリシア・ジュエリーの美しさと繊細さを例証している。ロゼットやパルメット、後ろ足で立ち上がる馬、スクロール、木の実などの多くのモティーフはそれぞれ、古典時代のゴールドスミスの驚くべき精緻さのグラニュレーションとフィリグリーの技法によって仕上げられている。さらに、これらのモティーフの多様さに加えて、その豊富さは最初の所有者が極めて裕福かつ身分の高い女性であることを示している。彼女の長い黒髪を背景に、揺れて太陽の光を捉えるこれらのペンダントの効果は、非常に印象的であったに違いない。このイヤリングは、クレタ島やギリシャ北部、東部、黒海の北岸と南岸の双方で発見された、同じように複雑かつ精巧なイヤリングのグループに属するものである。