作品名 | マリア・ジョゼ王妃のロイヤルルビーリング |
制作年 | 19世紀頃 |
制作国 | 未詳 |
制作者 | 未詳 |
素材 | ゴールド、シルバー、ダイヤモンド、ルビー |
サイズ | ルビー8.48ct |
ゴールドリングのフープから続くスクロールとストラップワークで装飾したショルダーは楕円のベゼルを支えており、そこにオーバルカットのビルマ産ルビー(8.48ct)がセットされている。ルビーは15石のオールドマインカット・ダイヤモンドの縁飾りに収められ、爪で固定されている。
イタリア王国の王妃は3人しかいなかったが、このリングはそのうちの2人、つまり最初の王妃と最後の王妃と結び付いたものである。1868年の、のちのウンベルト1世との婚礼に際して、ジェノヴァ公爵夫人である元プリンセス・エリザベート・フォン・ザクセンの娘マルゲリータは、両親と夫の一族から素晴らしいジュエリーを受け取った。それ以後、イタリア王国をヨーロッパでもっともきらびやかなものにしたいとの野心を秘めて、彼女はさらに多くのジュエリーを購入し続け、それらを非常に巧みに着けこなした。その中には国家に属するものも含まれたが、多くは彼女自身の所有物であった。1900年のウンベルト1世の退位を機に彼女は新しい王妃エレナが使用するために国家の在庫を返還したが、個人の所有物であるコレクションは自由に扱い、例えばパールとダイヤモンドの新しいティアラをトリノのムジーに作らせたり、未来のウンベルト2世である孫の洗礼式でそれを着用し、孫が結婚する際にはこれを花嫁に贈ることになると宣言した。後年の1925年に、彼女は孫娘のプリンセス・マファルダの婚礼に着用したパールを「いずれは孫の“ペッポ”(ウンベルト)のお妃のものにする」と宣言した。ステファーノ・パピとプリンセス・マリア・ガブリエッラ共著『サヴォイア王家のジュエリー』(ミラノ刊、2004年)75ページを参照のこと。マルゲリータ王妃は孫娘たちにも自分のジュエリーを与えたが、その他にもこのリングを含めたジュエリーが存在したに違いない。同じくウンベルトによって相続されたこのリングは、未来の王妃に贈られることになっていたが、それが1930年に結婚したベルギーのプリンセス・マリア・ジョゼであった。国王夫妻は1946年に極めて短い治世ののちにイタリアを離れることになり、その時に国家の在庫であるジュエリーはイタリア銀行に預けたが、このリングを含む私的な所有物とジュエリーは全て取り除かれた。
イタリアのマルゲリータ王妃(1851-1926)、イタリアのマリア・ジョゼ王妃の旧蔵品。2005年10月12日グベリンの鑑別書付。