制作年 | 18世紀後期 |
制作国 | イギリス |
制作者 | ナサニエル・マーチャント |
素材 | サード、ゴールド |
サイズ | L26mm, W20mm H27mm |
ゴールド製フォブ・シール。曲線的なオープンワークによるループ状のハンドルの先には吊り輪が付いている。ベース部はモールド(型押し)加工による縁取りの内側にサードのインタリオが配され、巻き毛の髪にローマ風のティアラを被ったジュノーの頭部が彫られている。左向きの横顔、マーチャント(作)という署名がある。
フォブ・シールは18世紀の男性の装いの特徴的な要素であった。ズボンのフォブ・ポケットから時計などとともに吊るされ、動くたびにジャラジャラと音を立てる。それらは人目に晒されるものでもあるため、多くは高品質であり、この作品は当時流行していた厳格な新古典様式で仕上げられている。ナサニエル・マーチャントの署名が入ったこのインタリオは、ジュピター/ゼウスの妻ジュノーを描いているが、マーチャントが仕事をしていたローマのヴィラ・ルドヴィジにある巨大な女神像のミニチュア版のようである。G.サイドマン『ナサニエル・マーチャント 宝石彫刻師 1739年―1816年』 No70、図77を参照。これはマーチャントによるジュノー/ヘラのインタリオの別ヴァージョンで、同じくMARCHANT Fのサインがあり、現在はパリ国立図書館のキャビネ・デ・メダイユに所蔵されている。1854年にディーラーから得たもので、18世紀に作られたオリジナルのリング枠にセットされている。