作品名 | メモリアル ネックレス |
制作年 | 17世紀後期~18世紀初頭 |
制作国 | イギリス |
制作者 | 未詳 |
素材 | ゴールド、エナメル、頭髪、ロッククリスタル |
16個のメモリアルロケットを繋げてチェーンにしたネックレスそれぞれのロケットは鋸状のギザギザになった縁を持つゴールド製で、面取りしたロッククリスタルの蓋がついている。
中には髪の毛がイニシャルを作り、時にはメメントモリとともに装飾的にセットされている。
中央のロケットの裏は不透明な白、ピンク、黒のエナメルの葉模様が描かれている。各ロケットのディテールは、中央から時計回りに下記の通りである。
1.TWとSNのイニシャルの間に、頭蓋骨を配した八角形のブレスレットロケット。裏面には当時よく結婚指輪に刻まれた「NO RICHES LIKE CONTENT(=幸福ほど豊かなことはない)」という文言が刻まれている。1716年。
2.楕円のロケット。髪の毛の上にJMのイニシャル。
3.楕円のロケット。イニシャルがモノグラムとして重ね合わさっている。
4.楕円のロケット。イニシャルは無く髪の毛のみ。
5.楕円のロケット。編み込まれた髪の毛にEEのイニシャル。
6.楕円のロケット。墓に入った骸骨のメメントモリと髪の毛の上にVRのイニシャル。「I REST(=私は横たわる)」の刻印。
7.徳と努力の人生に対する褒賞のシンボル、葉のついた杖で出来た王冠の中にイニシャル。
8.楕円のロケット。最後の審判の日にラッパを吹く天使に囲まれたVRのイニシャル。二つの頭蓋骨。
9.円形のロケット。パールのフレームにSEのイニシャル。裏にエナメル細工。
10.髪の毛のはいった楕円のロケット。VRのイニシャル。砂時計、墓堀のスコップ、骸骨などのメメントモリ。FEWとEVILの刻印。
11.髪の毛のはいった楕円のロケット。VRのイニシャルにメメントモリを表す頭蓋骨、砂時計、ロウソク。
12.楕円のロケット。イニシャルが装飾的に編み込んだ髪の上に重なっている。
13.楕円のロケット。髪の毛の上にWMのイニシャル。
14.楕円のロケット。髪の毛の上に重ねた骨と頭蓋骨。
15.楕円のロケット。髪の毛の上にHHのイニシャル。
16.楕円のスライド式クラスプ。髪の毛の上にGHのイニシャル。英国製、17世紀後期から18世紀の作品。もともとは別のものをネックレスに加工している。
死亡率の高かった17世紀において、友人や家族の思い出を記憶するためのメモリアルジュエリーに対する需要は非常に高いものであった。故人は遺髪とイニシャルそして人生のはかなさを表したシンボルで表現された。
多くのシンボル、頭蓋骨、十字に重ねた骨、骸骨、墓、墓堀用のスコップ、砂時計やロウソクなどがこのネックレスにも用いられている。これらのロケットは葬儀のあと家族の人々全員に贈られブレスレットやネックレスに提げられた。