作品名 | ドラゴンフライ・コーム |
制作年 | 1904-05年頃 |
制作国 | フランス |
制作者 | ルネ・ラリック |
素材 | インペリアル・トパーズ、ダイアモンド、鼈甲、シルバー、ゴールド |
サイズ | L53mm, W105mm |
幅の広いべっ甲のコームは17本の櫛歯を備え、5つのセクションに分かれたフリーズから成る上部は、そのそれぞれにトンボが浅く彫られ、その上に4匹のトンボの頭を伴い、四角いコレットにセットしたトパーズを一定の間隔に5個配したゴールド製の棒を支えている。裏側にLALIQUEのサイン入り(ルネ・ラリック、1860-1945)。1904-5年頃の作品
コーム(櫛)で有名なラリックだが、その大部分は動物の角に彫刻したものである。例外的に、ここで彼が代わりとして使用したのは、より高価なべっ甲である。このようなコームは、ラリックが受けた日本美術の影響を表わす。彼は浮世絵版画の女性が着けている櫛をアール・ヌーヴォーのジュエリーに変えて、頭の後ろに折り畳んで厚く重ねた美しい髪に、注意を集めさせたのである。トンボのモチーフは、ラリックにあまりにも特徴的なものだが、これもまた日本に由来するものである。日本ではトンボが和歌のテーマとなり、ジュディット・ゴーティモによってフランス語に訳された“Poemes de la Libellule”(『蜻蛉集』パリ刊、1887年)はベスト・セラーとなった。このシンメトリーで抑制の利いたデザインと組み込まれた宝石は、ラリックならではのもので、他のアール・ヌーヴォーのジュエラーたちによる同種のものは存在しない。似たようなコームの下絵が、“Rene Lalique Schmuck und Objets d’Art 1890-1910”(『ルネ・ラリック、ジュエリーとオブジェダール1890-1910』ミュンヘン刊、1977年)、no175、p211に掲載されている。