作品名 | 初代ローズ子爵のブレスト・ジュエルとイヤリング |
制作年 | 17世紀末〜18世紀頃 |
制作国 | フランスまたはイギリス(推) |
制作者 | 未詳 |
素材 | エナメル、ルビー、ダイアモンド、シルバー、ゴールド |
17世紀後期から18世紀初期のルビーとダイヤモンド、ゴールド、シルバーのスイートは、ボウノットで構成されたブレスト・ジュエリーのリボンにファセットを施したルビーとローズ・カット・ダイヤモンドがセットされており、同じようにルビーとダイヤモンドがセットされたクロス形のペンダントに取り付けられている。これとマッチしたジランドル・イヤリングは上部のクラスターと3つのドロップにルビーがセットされており、その間に1個のルビーとダイヤモンドのボウノットが配されている。これら2点のジュエリーはすべてホワイト・エナメルの花で美しさが高められており、さらにダイヤモンドとルビーのクレッセントがクロスの中の4個のルビーと、トップにあるルビーおよびジランドルのセンター・ドロップを縁取っている。
初代ローズ子爵リチャード・パーソンズ(1656-1703)とその妻であるマールボロ公爵夫人サラの姪であるフラフランシス・ハミルトンからの相続による第6代ローズ伯爵(1906-1979)の資産。
これらのジュエリーの格式高い由緒来歴はそのクォリティによって理解されるのは、それがヴェルサイユのルイ14世の宮廷において着用されたような17世紀後期の宮廷ジュエリーを代表するものだからである。これにはそのスタイルのすべての特徴が組み合わされており、重要なブレスト・ジュエリーと3点のドロップのジランドル・イヤリングのすべてが、ボウノットと花々のモティーフを見せている。高価であったのはダイヤモンドだけでなくルビーはそれ以上ですらあったが、ロベール・ド・ベルケンが『東および西インドの驚異』(1661年)で「すべてのカラード・ストーンの中で最も美しく、ダイヤモンドよりも稀少ゆえにより高価である」と明言した通りである。この時代のダイヤモンドおよびカラード・ストーンのジュエリーのほとんどすべてが消滅してしまったことから、このスイートはその美しさにおいてだけでなく稀少性のゆえに目覚しいもので、さらに貴族のプロヴナンスが確証付けられている。