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古代エジプト第18王朝 ゴールドポピーネックレス

作品名 古代エジプト第18王朝 ゴールドポピーネックレス
制作年 紀元前1550-1292
制作国 エジプト
制作者 未詳
素材 ゴールド
サイズ L400mm,W18mm

作品説明

2つの円錐を底面同士で貼り合わせた双円錐の形をした48個のゴールド製ビーズの間に、純金でポピーの蕾をかたどった同じ大きさの飾りが47個吊るされている。以前はネックレスのビーズが紐に通されていたが、新しくゴールドチェーンに組み直されている。

古代のゴールドはほぼ純金であり、本作の組成分析結果もある(後述を参照のこと)。ネックレスの状態はかなり良好で、微かな摩耗が見られるものの、制作された時代(3200-3500年前)を考えると極めて保存状態が良いと言える。

作品の特徴、そして古美術市場で最も権威あるマスペロ・ギャラリーの旧蔵品であることから見て、このジュエリーは20世紀初めから半ば頃の調査で発見されたものと推測される。その当時は、エジプトにある王妃の谷で行われたフランスの発掘調査によって、いくつかの偉大なる発見がなされたのである。同時期には、考古学的に最も有名なエジプト第18王朝の人物であるツタンカーメンの手つかずの墓が、ハワード・カーターとカーナヴォン伯によって発見されている。

 

来歴 

マリアンヌ・マスペロは、1970年代から1990年代にかけて活躍したパリのエジプト美術専門ディーラーであり、著名かつ尊敬を集める存在だった。彼女はルーブル美術館を始めとする世界中のあらゆる博物館に、美しい古代エジプトの美術品を収めている。彼女の夫であるマスペロ氏は、著名なフランス人考古学者ガストン・マスペロ(1846-1916)の孫である。コレージュ・ド・フランスの教授および古代エジプト学の責任者を務めたガストン・マスペロは、サッカラやギザの遺跡で数多くの発掘調査を行い(特にスフィンクスを砂から掘り起こす作業の責任者であった)、さらにはエジプト考古学博物館の設立にも携わり、エジプト学に関する多くの著作を残している。このネックレスはマスペロ氏の個人的な収集品の一部でもあり、その品質と真正性はこの来歴によっても保証されている。

 

解説

ここに解説しているネックレスは、世界の主要な博物館に所蔵されている第18王朝時代の貴少な作品と同じ様式が見られる(比較作品については後述を参照のこと)。ポピーの花のモチーフは、この種のジュエリーの特徴の一つである。

エジプト第18王朝は、アクエンアテン、ネフェルティティ、ツタンカーメンなどのファラオを輩出した重要な王朝であるが、長期にわたり王位に就いた唯一の女性ファラオであるハトシェプストもこれに属する。

この王朝は、古代エジプトで最も繁栄した時代であり、文字通り、また、比喩的な意味においても「黄金時代」であった。三つの王朝にわたる新王国時代は、この第18王朝で幕を開けた。北部の侵略者であったヒクソスに勝利して領土を奪回した後、イアフメス1世による繁栄期が始まり、金の産出地である南部のヌビア地方も征した。エジプトの再統一によって芸術が再興し、ゴールドは王権や崇拝を表すために欠かせないものとなった。ゴールドが神々の肉体であると言われたのは、その頃のことである。それから間もなく、ゴールドは根源的な神性が顕現したものとされるようになった。というのも、ツタンカーメンの父であるアクエンアテンが、太陽とその光を唯一の神と定めたからである。

金は、ソマリア北部の紅海沿岸に位置していたと思われるプント国からも運ばれてきた。プント国は大量の金、香料、没薬がもたらされている。

保存状態が良好な品は葬儀関連のものであることが多く、墓所から発見されている。死者は、あの世で快適な生活ができるように、様々なものを持って行く必要があるとされていたのである。この当時から既に麻酔や鎮痛作用のある聖なる植物として使用されていたポピー(つまりケシ)は、睡眠、死、永遠の休息、そして再生をも象徴していた。ポピーが、このような魂の生まれ変わりに関する象徴的な意味を持っていることは明らかだが、特にこの作品の様な軽量なジュエリーであれば、このモチーフをあしらったものが日常的にも着用されていた。ゴールドは身分の高い人物だけが使用できるものであったため、このネックレスはそのように高貴な人物、おそらくは王女や王妃が身に着けていたものである可能性が高い。

 

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