制作年 | 1550年頃 |
制作国 | 未詳 |
制作者 | 未詳 |
素材 | ゴールド、ダイヤモンド、エナメル |
ゴールドのリングは、様々な色のエナメル装飾が施されており、フープは翼とスクロールのついたショルダーと一体化している。各ショルダーには2石のテーブルカットダイヤモンドがセットされ、上にある四葉型のベゼルを支えている。ベゼルにはポイントカットのダイヤモンドがセットされ、さらにもう4石のポイントカットが、4枚の花弁にセットされており、ブルーエナメルで縁取られている。
この上質なリングはテーブルカットのダイヤモンドを取り入れている。それはポイントカットの上部を切り取ることによって得られるカッティングスタイルで、ダイヤモンドのカット技術が進化する長い工程の第一歩である。テーブルカットは依然として珍しいものであったため、ベゼル部分には従来のポイントカットが使用されている。
これは典型的なルネサンス時代のデザインであり、フープとショルダー、ベゼルは明らかに区別されるが、調和のとれた仕上がりとなっている。ダイヤモンドはショルダーとベゼル部分がチェイシングされ、エナメル装飾によって強調されている。
数多くの比較的小さな石を1つのリングに取り入れるというゴールドスミスたちの挑戦は、素晴らしく洗練されたデザインを生み出した。そしてダイヤモンドのサイズが大きすぎなかったために、ルネサンス時代から今日まで完全なまま生き残ったのである。ダイヤモンドリングの栄光は極めて高いものであったため、裕福な人々が婚礼の際に用いるだけでなく、王や女王がそれをエンブレムとしても選んだのである。