作品名 | 浮彫りのプラーク |
制作年 | 1898年頃 |
制作国 | フランス |
制作者 | ルネ・ラリック |
素材 | ゴールド、エナメル |
棘のようなゴールドの爪を伴うダークブルーのエナメルによって縁取られたゴールドブローチには、9人の乙女の胸像を彫った、アイボリーを模したプラークが収められている。彼女たちは髪を流行のポンパドゥールに結い上げ、様々なポーズをとりながら横顔を見せている。
このブローチは、ルネ・ラリックがベルエポックの因習的なダイヤモンドジュエリーに代わるものとして提供したアール・ヌーヴォー、すなわち新しい芸術のスタイルを例証するものである。ここで彼は自然から直接求めたモティーフである棘を用い、またこのジュエリーの中心的なテーマとして乙女たちの胸像を用いているが、その魅力は素材の内在的な価値にあるのではなくそれが創造されたアートにある。このプラークは色調と質感においてアイボリーに似た素材が選ばれているが、ラリックは1892年からここにあるようなブローチ、コーム、メダイヨンやペンダント、さらにはラシーヌの戯曲のベレニス役を演じるために女優のジュリア・バルテが使用した有名なティアラにもこの素材を採用している。このティアラは現在、ヴェルサイユのミュゼ・ランビネに所蔵されている。彼がアイボリーを用いた時代は、クリスタルやガラスへの移行を示すようになる1904年まで続いた。
棘の縁飾りのためのオリジナルデザインは、1991年10月から1992年3月にパリの装飾美術館で開催された『ルネ・ラリック:ガラスのジュエリー』展のカタログ128ページに「モンチュール・エピンヌ(=棘のマウント)」として掲載されているものがそうである可能性がある。