作品名 | 生贄のカメオ リング |
制作年 | カメオ:15世紀、リング:後年 |
制作国 | 未詳 |
制作者 | 未詳 |
素材 | ゴールド、サードオニキス |
4人の男たち(1人は槌を手にしている)が、灯火を焚いた祭壇に、生贄の雄牛を引いていく様子を刻んだ楕円形のサードオニキス製カメオをセットしたゴールドのリング。
この貴重なカメオは、ルネサンス初期に既に技術が高度な水準に到達していたことを示す一品である。ここに刻まれた場面はローマ時代のコインの裏面などに類似したものが見られ、そのような古典美術の影響を受けて製作されたものである。サードオニキスの赤褐色の層を用いて、炎を焚いた祭壇、そこに近づくにつれ頭を下げて前掻きする雄牛、行進する人々の髪や衣服などを表現している。また白い層に彫った人物の横顔が、暗褐色の背景に映えている。周りには石の白い層を利用した自然なフレームを切り出している。卓越した構図や、生贄の運命に抵抗する見事な雄牛の表現など、古代の最上のカメオにも並びうる名品である。