制作年 | 1600年頃 |
制作国 | ドイツもしくはオランダ |
制作者 | 未詳 |
素材 | ゴールド、シルバー、ダイヤモンド、サファイア、ルビー、パール、エナメル |
サイズ | L86mm, W60mm, H20mm |
この金色の髪をしたキューピッドは、身体は自然主義的にホワイトエナメルが施されてテーブルカットルビーとダイヤモンドで美しく装飾されており、首には1石のサファイアがついたカラーを付けるとともに羽と矢筒はルビーがセットされ、そのルビーの弓からはダイヤモンドを先端に付けた矢が放たれている。結婚のシンボルでありヴィーナスに捧げられたキジバトとハート、勿忘草が上にプラークを飾っている。そのプラークとペンダントは1粒のパールから提げられるとともに、ゴールドチェーンの先端は6石のエナメルを施したゴールドとルビーのリンクになっている。
これは16世紀後期および17世紀初期から残存してきた、極めて少数の空飛ぶキューピッドのひとつである。その他のものは、アムステルダムのリークスミュージアムとブダペストの応用美術博物館のエステルハージー・コレクション、コペンハーゲンのローゼンボルグ城、サンクト・ペテルブルグのエルミタージュ美術館に所蔵されている。年若い愛の神であるキューピッドの矢を放とうとしている像は、ハートと勿忘草、キジバトのシンボルとともにこのジュエリーを結婚と結び付けており、またその目的は文書によって確認されている。
ローゼンボルグ城にある同じようなジュエリーが1597年のアン・カトリーヌ王妃の持参金目録にリストアップされており、またエステルハージー・コレクションの中のものは1618年に結婚によって家族にはいった貴婦人への婚約の贈り物であった。