作品名 | 蝉のブローチ |
制作年 | 1895年頃 |
制作国 | フランス |
制作者 | ブシュロン |
素材 | ゴールド、エナメル、ダイヤモンド、サファイア、シルバー |
ブシュロン製作のフランス風のゴールドとシルバーの昆虫ジュエリーは、ライトイエローのローズカットダイヤモンドをセットした腹部と、サファイアをパヴェセッティングした胸部、同じくパヴェセッティングの頭部、キャッツ・アイ・クリソベリルの眼を持ち、羽にはピンクとグリーンの濃淡のプリカジュールエナメルが施されている。
昆虫は、古代世界以来ジュエリーのテーマとなってきたが、19世紀に人気の頂点に達すると豪華に貴石がセットされた。これに反発して、ルネ・ラリックによって先導されたアール・ヌーヴォーのアーティストたちは、素材価値の小さい素材を用いてそれらにかわる昆虫ジュエリーを創造した。
ここでは、フレデリック・ブシュロン(1830-1902)は2つのアプローチを結びつけている。
すなわち、昆虫のボディにダイヤモンドとサファイアをセットするとともに、その羽に自然を模した色合いのプリカジュールエナメルで「ウィンドウ」(=窓)をあしらったのである。この見事な例は、昆虫のはかない美しさを捉えており、頭上高くにあるいはボディスにピン留めして、またはペンダントとして提げて着用することができた。