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闘鶏のジャボット・ピン

作品名 闘鶏のジャボット・ピン
制作年 1905年頃
制作国 フランス
制作者 ジャネシッチ
素材 エメラルド、ブラックオニキス、アメシスト、ダイヤモンド、プラチナ、ホワイトゴールド

作品説明

フランスのアール・デコのプラチナに宝石をセットしたダブル・エンド型(両先端型)のピンはジャネシッチによるもので、その両先端は闘鶏になっている。ダイヤモンドをパヴェ・セットした2羽の翼とボディはオニキスのディテールで斑点が付けられ、カリブレ・カット・アメシストのとさか、エメラルドの眼とカリブレ・カット・エメラルドとオニキスの尾羽を具えている。1羽の獰猛な鶏はいつでも跳ねられるように身構えて、嘴を開け、翼を広げており、もう1羽は地に肢を付けて攻撃をかわそうと待ち受けているかのように頭を上げている。フランスの極印と“7043”のナンバーが刻まれ、Janesichとサイン入り。

解説

1835年にトリエステで創業したジャネシッチ社は、1913年にパリのリュ・ド・ラ・ペ19番地に店舗を構えたが、1914年に第一次世界大戦が宣戦布告されてビジネスを切り詰めることを余儀なくされた。しかしながら、大戦間の時期にジャネシッチは復活してアール・デコ・スタイルの主導的な代表者となった。

ホワイトのダイヤモンドとブライト・グリーンのエメラルドと鋭くコントラストするオニキスをセットしたこのジャボー(紳士用の首に巻くフリル状のタイ)ピンは、ベル・エポックの伝統的なガーランド・スタイルとモダンな、幾何学的なアール・デコの間の過渡期を物語るものである。互いを相手に戦う闘鶏のモティーフは、競馬と正に同じようにお気に入りの鶏に金を賭けるギャンブラーたちにアピールした。ダブル・エンド型のピンは、ベル・エポックの手の込んだ装いに取って代わりつつあった端正なトーク(あたまにぴったりした小さなつば無し婦人帽)ハットの厳格さを和らげるために主として用いられたひとつの革新であった。

ダイアナ・スカリスブリック