制作年 | 19世紀初頭 |
制作国 | 未詳 |
制作者 | 未詳 |
素材 | ゴールド、シルバー、ダイヤモンド |
サイズ | L60mm W145mm H135mm |
ゴールドとシルバーのティアラは、額のセンターで交わる12本の麦の穂で構成され、プレーンなゴールドのフレームの上にセットされている。
ローマ神話の女神ケレスは農耕とあらゆる大地の恵みの保護者で、古典芸術においてはゴールドの麦の穂のティアラを着けて描かれているが、豊穣と繁栄のシンボルであるこのもティーフはナポレオン治下の時代に復活させられ、ここにあるようにダイヤモンドを使って表現し直された。彼の偉大な買いが『聖別式』には、1804年のパリのノートルダム大聖堂におけるナポレオンの戴冠式が記録されているが、画家のダヴィッドはナポレオンの妹のプリンセス・ポリーヌ・ボルゲーゼがケレスのティアラを頭上に戴いて皇后ジョゼフィーヌのコート・ドレスの裳裾を持ち上げているところを生き生きと描写した。それ以来このタイプのティアラは広範に着用され、プリンセス・ポリーヌ・ボルゲーゼがファッションをリードするところ他のファッショナブルな女性たちがこれに倣うという形で、フランスのみならずヨーロッパ全土に広まった。この象徴性のゆえに、1837年のウェストミンスター寺院でのヴィクトリア女王の戴冠式においては、12人の若い貴族女性の裳裾持ちたち全員が同じような麦の穂のティアラを着けたが、それは新しい治世が大きな国家的繁栄をもたらすようにとの希望の表れであった。