メソポタミアとエジプトでほぼすべてのゴールドの加工技術とアイテムが登場したが、ギリシャではミケーネ文明においてカラフルなエナメルが発明された。その色彩性はインタリオやカメオをマウントしたリングに、またヘレニズム後半からローマ期では諸種のカラード・ストーンを用いたジュエリーに引き継がれた。古典芸術の基本は理性と秩序、対称性だが、写実的な花や葉、果実などの植物モティーフ、神々や人物の立体像も多用され、さらに遊牧民スキタイとの交流から動物モティーフが特徴のグレコ・スキティアン・スタイルが生まれる。こうした要素をエジプトとオリエント世界にまで広げたヘレニズムの特徴は、アレキサンダー大王などの頭像を表したコインのジュエリーへの導入で、これも含めてローマへと受け継がれた。またローマに先行するエトルリアで頂点を極めたグラニュレーションは、19世紀中葉の名工カステラーニでさえ完全に復元することが不可能なレベルであった。