バロック全盛期のルイ14世を継いだルイ15世の治世に開花したロココ芸術は、バロックの威圧的で重々しいフォルムからよりソフトで軽快なパターンへと変貌を遂げる。代表的な表現は装飾美術、特にインテリア装飾において見られ、その軽妙洒脱な感覚が大衆の趣味をも牽引するところとなった。語源はフランスの小石と貝殻による庭園装飾のロカイユに由来し、ロココの部屋は優美な家具と彫刻、装飾鏡と室内を補完するタピストリー、レリーフ壁画を展示する芸術作品さながらに装飾された。装飾美術の頂点と言われるこの時代、ジュエリーの分野では入り組んで細部を極めたデザインが、熟練の職人芸による手作業によって際立てられた。ブラジルで鉱山が発見され18世紀は、“ダイヤモンドの世紀”とも言われる。セッティングはシルバーにゴールドを裏打ちした繊細なデザインとなり、ジュエリーの着用者が男性から女性へとシフトしたことから衣装との一体化が進み平板化した。