1820年以降、厳格な新古典主義への反動として興ったロマン主義は、個人的感情の表出を称揚し、主観的で想像的、情感を刺激するテーマや表現を特徴とする。広い意味での写実的自然主義も含まれ、ジュエリーでは文字遊びや花言葉の寓意をデザイン化したもの、髪の毛を使ったメモリアルやモーニング・ジュエリーも登場する。過去への憧れや評価を含むロマン主義の動きの中で、スタイルや方法における過去回帰を旨とするのが歴史主義で、それらのスタイルに“ネオ”あるいは“リヴァイヴァル”を冠した様々なスタイルが登場した。歴史主義もほぼ同義だが、考古学的発見に触発され19世紀中期以降に隆盛となった考古学スタイルは、エトルリアなどの発掘品をデザイン、技術ともに模したジュエリーで、ローマのカステラーニが主導者として知られる。こうした流れの中にあって、過去の様々なスタイルからモティーフや装飾要素を借りて組み合わせる創作態度が折衷主義である。