用語集

ケッヒェルト【ジュエラー/メゾン】

Köchert

1807年、フランス系のエマニュエル・ピオテ(1781-1865)によってウィーンに創立されたオーストリアのジュエラー。1819年にヤコブ・ハインリッヒ・ケッヒェルト(1796-1868)が入社し、1825年にピオテの共同経営者となる。その息子のアレクサンドル・エマヌエル・ケッヒェルト(1825-1879)が1848年から1879年にかけてメゾンを大きく発展させ、オーストリア皇室を始め貴族や富裕階層の市民たちがケッヒェルトの顧客に名を連ねるようになる。1920年から1940年にかけて、外部の数多くの芸術家たちがケッヒェルトのジュエリーのデザインを行う。中でも1920年代のクリエイションは、厳格に幾何学的なインスピレーションの明確な表現形態を有しており、アール・デコ・スタイルの先駆をなすものとなっている。数々の万国博覧会に出展したが、1930年にウィーンで行われたヴェルクブントと、同年のミラノにおけるトリエンナーレが特筆される。現在まで一族経営が続き、クリストフ・ケッヒェルト(1964年生)と従兄弟のアレクサンドラ、ウォルフガング(1965年生)がトップを務めている。ケッヒェルトのジュエリーは一級の貴石を使うことで知られるが、装飾的なエナメル使いでも有名である。