ジェンセン、ジョージ【ジュエラー/メゾン】
Jensen, Georg
デンマークのジュエラー、ジョージ・アーサー・ジェンセン(1866-1935)は、徒弟修業を積んだ後の1887年からコペンハーゲンの芸術アカデミーで彫刻を専攻し、1892年に卒業する。1898年、画家のヨアキム・ペテルセンとともにセラミックのアトリエを設立し、1900年のパリ万国博覧会に参加した。その後、彫刻に専念したいとの願望を抱きつつも生活のためにテラコッタ・メーカーにデザイナーとして就職。次いで雇われたモーガン・バランのアトリエで出会った他のアーティストたちに触発され、ジュエリーへの関心を目覚めさせられた。彼にとってのそれは、まずは彫刻的なフォルムのものであった。彼の才能はたちまち認知され、1904年にはコペンハーゲンに自前のアトリエを開くに至る。同年、コペンハーゲンの装飾美術博物館で開催した個展では、熱烈な歓迎を受けた。続いてドイツ各地の博物館で展覧会を開催し、その成果がビジネスにも大成功をもたらした。1909年に ベルリンにブティックをオープンし、すぐにロンドン、パリ、バルセロナが続いた。1910年のブリュッセル万国博覧会に出展しゴールド・メダルを受賞するが、やがてビジネスの急拡大に伴う外部資本の導入で彼は経営権を失う。その後1924年から1926年までパリに住み、アトリエの開設を試みるかたわらアール・デコ・スタイルからもインスピレーションを得るが自身のスタイルの内に留まる。コペンハーゲンに戻ると、彼は再開したアトリエに新しいクリエイターたちを次々と参加させ、そこはまるで才能の養成所の感を呈した。イギリスのアーツ・アンド・クラフツのクリエイターたちやルネ・ラリックの影響を受けたが、彼は自らのスタイルを貫いた。20世紀のデンマークのジュエラーとして最も偉大な名前であるジョージ・ジェンセンは、現在ロイヤル・コペンハーゲン・グループの一員として盛業を続ける、ジュエリーとシルバーウェア、陶磁器、腕時計といった高級品の世界的ブランドとなっている。