用語集

タール、アントワーヌ【エナメル細工師】

Tard, Antoine

フランスのエナメル細工師アントワーヌ・タールは、1860年代にエナメルの上絵付けと彫金の上に施す古いエナメル技法を復元することに専念した。その中で再発見したクロワゾネ・エナメルの技術はシャルル・クリストフルが最初に行ったものだが、そのクリストフルからタールはクロワゾネ・エナメルで装飾した銅製品の製作を委任される。また1867年の万国博覧会にエミール・フィリップが出展したクロワゾネのオブジェはタールによるものであった。クリストフルは日本美術の装飾技法による製品の発注を増やす一方、同時期にアレクシスとリュシアンのファリーズ父子が依頼したこの技法のゴールド・ジュエリーへの採用はクロワゾネの仕切りの中にマット・エナメルを充填するものであった。1868年から、彼らはこのタイプの最初のジュエリーを製作するが、それは日本美術のモティーフにインスピレーションを得た、中国の古いクロワゾネの色彩を彷彿させるものであった。この分野で確固たる名声を得たタールは、特に1889年の万国博覧会においてはボーグランに、次いでブシュロンに協力するが、一方でリュシアン・ファリーズの1873年のウィーン万国博覧会および1878年の万国博覧会での受賞に貢献しコラボレーションを維持した。