ダフリク、フェリクス=フランソワ【ジュエラー/メゾン】
Dafrique, Felix-François
パリのジュエラー、ダフリクは徒弟修業を終えた後も2つのチェーン・メーカーでも修行し、この分野を自らの専門とする。さらにエナメル技術の修得にも専心し、1839年にはマリー・アメリー王妃のためのゴールドとエナメルのネックレスを製作した。彼は1829年に自立すると、傑出したデザイナーにして多彩なモデルの創造者、巧みな実製作者としてたちまち業容を拡大し、パリで最も重要なメゾンのひとつとなった。当初はソトワールやブレスレットなどのチェーンを専門としたが、1840年頃に縁取りしたシルクの組み紐を模したエナメルで豪華に装飾したゴールドの組み紐を改良し、また1844年の産業博覧会に出展したゴールドとシルバーのレースによる飾り肩掛けを開発するなど製品の幅を広げた。常に革新を追い求めた彼の最も重要なクリエイションは、1849年の産業博覧会に初めて出展して非常に評価されたカメオ・アビエである。ダークなアゲートを使ったカメオで、主に黒人女性を表現した肖像にジュエリーやエナメルの装飾を施して立体感と色彩感を高めたブラッカムーアとも呼ばれるこれは、多くの追従者を招くほどの流行を生んだ。1851年のロンドンと1855年のパリの博覧会にも出展しメダルを受賞するが、1870年代の初頭に引退した。